八大龍王鳴動護摩祈祷会を厳修いたしました。
◆八大龍王祭 龍神様として知られる仏法守護の神
令和8年6月18日、一光寺にて八大龍王祭を厳修させて頂きました。
お申し込み頂いた方々の願いを奉読し、心を込めて祈願させて頂きました。
古くから龍王信仰の世界では、龍王は雲を動かし、雨を降らせ、天地を結ぶ存在と考えられてきました。
また修験道や密教の伝承の中には、「祈りの声は龍王の宮殿に届く」とも語られています。
もちろん実際に竜宮が見えるわけではありません。
しかし昔の行者達は、人々の願いを神仏へ届けることを、龍が天へ昇る姿に重ね合わせてきました。
そのため護摩の蒸気が立ち昇り、鳴動護摩の響きが天地に鳴り渡る時、その音は龍王の世界へ届き、願主の願いをお伝えすると考えられていたのです。
だからこそ昔の人達は、龍王供養や龍神祭をとても大切にしてきました。
私も修法中、皆様の願いが少しでも良い方向へ進むよう願いながら、八大龍王へ祈りを捧げさせて頂きました。
八大龍王供を修していると、時折、自分が深い海の底にいるような感覚になることがあります。
今回も海底のどこか遠くで地響きが起こっているような、ドーン、ドーン、ドーンと重く響く大きな音が聞こえてきました。
もちろん、それをどう受け取るかは人それぞれでしょう。
しかし古くから龍宮は海の彼方にあるとも語られてきました。
そのため私は、その響きを感じる度に、龍王の世界とのご縁を改めて感じるのです。
その後に鳴らした鳴動護摩の音も、とても力強く、良い響きでした。
さて、そんな八大龍王とは一体どのような存在なのでしょうか?
最近は龍神信仰も人気ですので、名前は聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし実は、八大龍王は単なる龍神様ではありません。
古くから仏教や修験道の世界で大切にされてきた、特別な存在なのです。
◆法華経にも登場する八大龍王
八大龍王は、法華経にも登場する八柱の龍王の総称です。
古代インドでは龍(ナーガ)は、水や雨、河川や大地を守る霊的存在として信仰されていました。
そして仏教が広まる中で、龍王達は仏法を守護する存在となったのです。
つまり、八大龍王は単なる自然神ではなく、仏法を守る護法善神として信仰されてきました。
◆龍女成仏の伝説
八大龍王の中で有名なのが、娑伽羅龍王(しゃからりゅうおう)です。
なぜなら、その娘が法華経に登場する「龍女」だからです。
当時は、女性は成仏できない。
子供は悟れない。
という考え方が強くありました。
しかし法華経では、八歳の龍女が即身成仏する姿が説かれています。
これは仏教史の中でも非常に有名なお話です。
龍王信仰が今でも大切にされる理由の一つには、この法華経との深い関係もあるのです。
◆八大龍王は雨乞いの神?
日本に伝わると、八大龍王は雨を司る神としても信仰されるようになりました。
昔は雨が降らなければ飢饉になり、降り過ぎれば洪水になります。
そのため人々は、山や滝、池や淵などに祀られた龍神様へ祈りを捧げました。
今でも全国各地に、八大龍王を祀る祠や石碑が残っています。
◆白龍弁才天と八大龍王
一光寺では、八大龍王だけではなく、白龍弁才天も共にお祀りしております。
古くから弁才天と龍神は深い縁があるとされ、各地の弁才天信仰でも、龍王や龍神が眷属として語られることがあります。
そのため伝承の中には、弁才天と龍王を共に祀ることで、より大きな御加護が得られるという考え方も残されています。
なので、一光寺では白龍弁才天と、八大龍王を共にお祀りされることをすすめているのですな。
もちろん神仏のお働きを人間が決めつけることはできません。
しかし私自身、白龍弁才天と共に八大龍王を拝む時には、龍王達も力強くお働き下さっているように感じることがあります。
八大龍王は弁才天のご眷属とも伝えられておりますので、白龍弁才天の御神威のもと、願主の願いを龍王達が運び、
後押しして下さっているのかもしれません。
そのような思いも込めながら、毎年八大龍王祭を厳修しております。
◆修験道に残る八大龍王信仰
山伏や修験者の世界でも、八大龍王は大切な存在でした。
山には滝があり、滝には龍神が宿ると考えられていたからです。
また伝承によっては、龍王は天地を結ぶ存在とも考えられていました。
そのため、祈祷や雨乞いだけではなく、土地を鎮め、場を清め、神仏との縁を繋ぐ存在として信仰されてきたのです。
◆音によって神意を伺う伝承
日本には古くから、神仏の意思を音によって伺う伝承があります。
岡山県の吉備津神社には、釜の音によって吉凶を占う鳴釜神事が伝わっています。
また一部の修験道や稲荷信仰の世界では、龍王を本尊として鳴動護摩を修する伝承も残されています。
一般にはあまり知られていませんが、今もなお受け継がれている古い祈りの形の一つです。
◆龍神信仰の本来の姿
最近は、「龍神様にお願いすると願いが叶う」という話を耳にすることもあります。
もちろん信仰によって救われることもあるでしょう。
しかし伝承を見ていくと、八大龍王は本来、仏法を守り、人々を正しい道へ導く護法善神として信仰されてきました。
ただ願いを叶えてくれる存在というより、人が正しく生きることを支えて下さる存在なのです。
◆おわりに
今年も八大龍王祭が終わり、改めて感じることがあります。
それは、昔の人達は自然を畏れ、自然に感謝しながら生きていたということです。
雨も風も、山も川も、当たり前ではありません。
その自然への感謝の心が、龍王信仰という形で今も受け継がれているのかもしれません。
今回も伝承に基づいてお話させて頂きましたが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
ありがとうございました。

